めご


 「めご」とは、底を四つ目に編んだ少し浅めのカゴのこと。一個のみで野菜を洗ったりするカゴとしても使われますが、元々は二個で1セット。天秤棒の両端から紐でぶら下げて、肩に担いで野菜や堆肥を運んだりします。(その昔、赤ん坊を乗せて運んだりもしたとか!) ちなみに、こちらでは1セットのことを「一荷(いっか)」と呼びます。弟子入りした最初の頃、師匠から「めごは一荷で〜円」と聞いたのを、意味がよく分からず、勝手に「一ヶで・・」と勘違いして、しばらくはお客さんに間違った値段で説明していました。



縁は磨かず、編みたて直後の青さです


 梅雨入り前のこと、「めご」を編んであげた地元のおばあちゃんを訪ねて、実際に使用しているところの写真を撮らせてもらいました。彼女の暮らす集落は、私の所より車で20分ほど。三年前の今頃、十数名の犠牲者を出した土石流災害の発生地域から、更にまだ山奥に入ったところです。そこでは「かれてご」を使う人はまだ結構いるものの、「めご」を使いこなす人は、今ではこのおばあちゃんのみ。その担ぐ姿は、まさに見事でした。




軽トラックの入らない山道を下り、奥の畑で育てたジャガイモをメゴに入れます。



よいしょと立ち上がり、その後はリズム良くメゴを振って、ひょいひょいと坂を登っていきます。

             
 私も挑戦しましたが、これはかなり難しいです。単純に重たいので、まずは立ち上がるのが大変。そして何よりも、バランスが取れずにふらふらしてしまうのです。実際に運ぶ時は、少しカゴを揺らして運ぶのがコツとのこと。そのため、天秤棒は多少しなりのある木が良いらしく、シュロの幹の中心をくり貫いたものが柔軟性があって最適だとか。また、一方の肩で疲れたときは、首の後ろで棒をクルッと回転させて、別な肩に移動させます。




 最後に、そのおばあちゃんの立ち姿の写真。(ご本人の許可を得ています) 鍬も一緒に、こうやって棒に引っ掛けて運びます。格好良いです。私も、こんな存在感のある年の取り方をしたいと憧れます。