大分の青物師




 下写真の方は、大分県在住の青物師(青竹職人)です。 特に「縁巻き」が上手な方で、私はとても尊敬しています。 「竹を竹でおさめる」この技術は、見た目はシンプルですが、非常に難しくて奥深いものがあり、真竹で綺麗に巻き上げられた籠の美しさは、何とも言えないものがあります。


 先日、「縁巻き」の技術を教わりに彼のもとを訪ねました。 途中まで編んだ笊(ザル)を持参し、その場で彼に縁巻きの技を見せてもらいました。 彼はお忙しい中、半日近く時間をかけて、懇切丁寧に教えてくれました。彼もまた、いまだ日本に残る貴重な青竹職人の一人です。 そんな彼の仕事を目の当たりにして技術を学べたことは、本当に感謝です。 どうもありがとうございました。



 
 彼が昔に先輩職人から教わったこともあれば、彼自身で考えて編み出された技もあります。 水俣で教わってきたことと、全く正反対のやり方もありました。 指先の微妙な使い方、あるいは包丁の動かし方など、それがごく些細なことであっても、竹の縁巻きには大きな影響を与えます。 彼から指摘されなければ、自分はたぶん一生気づかなかったであろう、ということもありました。 帰宅後、彼のアドバイスを参考に直径9寸笊の縁巻きをしてみました(下写真)。 普通の籠よりも、こんなシンプルな笊の方が縁巻きは難しいです。


 
 一般に水俣の縁巻きは、間隔を広く取って巻く傾向にあり(上写真は、2寸7分ずつの6周巻き)、仕上がりが、より右斜めに流れる感じになります。 一方、大分の縁巻きは、もう少し間隔が狭く、また巻き数も減らして、仕上がりが水俣式ほどに斜めに傾かないように思います。 彼は、巻き巾の間隔が広いのは「流れ巻き」と言って良しとせず、一方水俣では、逆に間隔が狭いのは「かずら巻き」と言って嫌う傾向にあります。 それぞれの地方によって、ずいぶんと違いがあるのだということを思いました 。