「しょうけ」の縁巻き
「しょうけ(しょけ)」とは、こちらで言うザルのことです。「縁巻き」は、籠作りの最後の仕上げにあたる大事な作業ですが、「しょうけ」の縁巻きは、特に難しいです。通常、竹を6〜7周して縁を巻きますが、いつもうまくいくという自信は全く無く、私は毎回緊張します。
直径60cm強の「二斗じょけ」の縁巻き。私が今まで編んだ中では、一番大きい「しょうけ」です。
「しょうけ」の縁巻きには、「上り」と「下り」があります。下写真の左側は、「上り」の部分。編んでいるヒゴの向きと、縁巻きの竹の寝かせている角度が、同一方向です。(ともに、右斜め上を向いています) 一方、下写真の右側は、「下り」の部分。編んでいるヒゴの向きと、縁巻きの竹の角度は、同一ではなく互いに垂直になるところです。「上り」と「下り」では、竹を巻く時の感じが微妙に違います。「下り」では、竹が素直に斜めに寝てくれますが、「上り」では、自ら竹を少しメリッと言わせる感じで強引に寝かせないと、うまく角度が揃いません。
直径8寸」、24cmくらいの「しょうけ」
師匠はまだまだリハビリ中、こちらが喋ることは伝わっているものの、彼自身が言葉をなかなか発せられないのが辛いところです。しかしこの私の手が、彼が13歳から弟子入りして培ってきた技を少しでも自分なりに受け継いでいるということ、それを先日ふとしたことで実感して嬉しくなりました。