寿司バラ  


 先日、宮崎県の綾町で竹細工をしている方を訪ねてきました。 「寿司バラ」とは文字通り、寿司飯をかき混ぜる蓋(フタ)付きの笊(ザル)のこと。 宮崎県と鹿児島県のみで見られる、南九州の独特の生活民具です。


 私は、この「寿司バラ」を見るのは初めてでした。 写真は籐(とう)での仕上げですが、葛(つづら)で巻いたものもあります。 底とフタの両方を、細かいヒゴで網代編みで編んでいます。 底は下写真のように、別途六つ目に編んだものをはめ込んで補強しています。 ヒゴは全て磨いてあります。


 とても手間がかかっていて、編んだ人の気持ちや想いが充分に籠もっていることが伝わります。 綾町には、残念ながらもう昔ながらの籠職人はいなくなってしまったとのこと。 しかしながら、別府の訓練校を卒業された方が、この「寿司バラ」に惚れ込み、当時綾町に残っていた職人さんに編み方を習われました。 そして、その技を受け継いで今も寿司バラを作られています。 現在はその方を中心とした竹細工の教室・グループもできています。

 むろんこの「寿司バラ」は、寿司を混ぜる以外にも、パーティー時の料理の盛り付けや、弁当代わりでピクニックなど、使う人の感性によって用途は様々です。 もし、この「寿司バラ」に興味を持たれた方は私までご連絡ください。 「寿司バラ」の作り手の方たちの連絡先を紹介させていただきます。