27年目

  


 昨年のカゴ作りを振り返って。


 下写真は、高さ約30cmの「腰てご」です。 自伐型林業をされている方からの注文で作りました。 山に入る際の道具入れに使われるそうです。 胴体には、腰ベルトが通るように竹片を入れています。 頑丈さを意識して編みました。







 下は、横が約40cmの「茶碗てご」です。 十数年前に編んだものと比べて、楕円の形を少しシャープにしてみました。 建築会社からの注文で、モデルハウスの居間で使われるとのことです。 






 下写真の「浜てご」、もともとはビナ貝を採るのに使われて、「ビナてご」とも呼ばれます。 かつて豊かな海の暮らしがあった水俣、その昔の写真に、時々こんな手提げカゴが写っているのを見かけます。 そのたびに、私は誰が作られたのだろうと気になっています。

  

 
 




 下は、直径7寸(約21cm)の小さい丸ザル。 弟子入り時代によく編んだのは9寸で、この大きさを作ったことは殆どありません。 縁は、通常は6回巻きですが、竹幅を5ミリと細く取って、2.1寸毎の7回巻きで仕上げてみました。 これを四つ作って巻き上げたあと、緊張で背中がパンパンに張って、しばらくは痛みが取れませんでした。 



 




 昨年は、しっかりとした国産品が欲しいとのことで、干し物用のザルの注文が多くありました。 下は、それぞれに一長一短があり、編み方・作り方が全て違います。 左は、網代と六つ目編みで作った、直径75cmの「二重バラ」です。 細かいものを干すのに優れています。 右は直径65cm、ゴザ目に編んだもので、通気性に優れています。 どちらも底面を別途編み、後から輪にはめ込んで作ります。

 



 下左は、直径60cm弱、作り輪にヒゴを一本一本練り込んで編んだものです。 重たいものを載せても底が外れる心配はありませんが、上の二つと比べて縁の高さがありません。 そして右は、約48x68cm、木枠を作って、四角に仕上げたもの。 こちらでは、「蚕バラ」と呼ばれます。 作りとしては、一番頑丈かもしれません。


 




 下写真は、水俣の海岸近くで偶然に見かけた「かれてご」です。 遠いところから一瞬にして目に入り、果たして師匠が編んだものかと懐かしい気持ちで近づいてみたら、何と20年近く前に私が作ったものでした。 話を伺えば、かつて知り合い経由で注文されたとのこと。 まさかこの海の集落で私のカゴを使ってくださる方がいるとは、不意を突かれた思いでした。 


 



 中には、裏の畑で収穫された白菜が入っていました。 一つ、持っていきなっせと、私に渡してくださいました。 太陽や土と真っ直ぐにつながる、おばあちゃんの畑仕事。 そこに寄り添う感覚を奥に抱いていれば、カゴ作り、自分の行きたい道から大きく外れて逸れることは無いだろうと思います。