- 一斗じょけ (直径17寸(約51cm)の、一斗入り米揚げ用の大ザル。「かれてご(背負い籠)」と同様、水俣の代表的な竹籠です。このようなシンプルな丸いザルが実は一番難しく、弟子入り中、師匠と最も腕の差が出た籠でした。大きさで呼び名が変わり、他には八升じょけ(直径15寸)、五升じょけ(直径14寸)、三升じょけ(直径12寸)、一升取り(直径1尺)・・・などなど。)
- かれてご(背負い籠) (「背負う」ことを「からう」と言い、「からいてご」が訛って「かれてご」と呼ばれます。水俣式は、桶の輪をカゴに少し食い込むくらいのきつさではめ込み、その間に紐を通します。高さは、二斗入りで1尺5寸(約45cm)。写真は一斗五升入りで、二斗入りより全体的に一寸くらい小さめ、特別にヒゴは磨いて編んでいます。)
下は、それぞれ別なお客さんが送ってくださった写真。
胴体のヒゴは磨いていないので、少しくすんだ柔らかい感じで色が深まっています。
左は、筍堀りに使用中のところ、右は、都会の街中で背負ってくださっているところです。
下は、底面をより頑丈に保護するため、竹の巾を広く取って直角にはめ込んだもの。四隅が竹によってカバーされます。
割れないように曲げるのは難しいです。
- 山芋籠 (掘り出した山芋を、折れないように木の棒などに括りつけ、籠の中に入れて運びます。通常の「かれてご(背負い籠)」と違って、上を広げず、まっすぐに細長く編んでいます。高さは、約70cm弱。)
- 川蟹(がね)てご (モクズガニのことを「がね」と呼び、川蟹を捕獲するカゴです。カゴ内部に魚の頭や内臓などを入れた餌袋を仕掛け、下流に向けて川底に浸けます。胴体の二面には穴を開け、蟹が入る「こした」を固定式で取り付けています。がねてごの「こした」は、ウナギ用と違ってヒゴは厚めに、また口を少し開けて作ります。フタは、石を載せるので、大きく頑丈に作ります。横幅50cm強、フタは約27cm。円筒式のがねてごもあります。)
- 茶ベロ(直径1m弱の特大カゴ。円筒形のカゴの中で炭火を焚き、フタの上で、釜で炒って手揉みした茶葉を乾燥させます。山型のカゴの中を熱がまわり、香りが良くなります。かつて中国・湖南省から鹿児島の職人によって南九州に伝えられたと言う、昔の生活のカゴです。今も現役で使っていらっしゃるおばあちゃんからの注文で編みました。下の台は、網代編みで輪を作ります。)
下は、実際に茶ベロを使用するところ。
左写真、奥の茶ベロは一年経過して色が変化したもの。手前の茶ベロはフタだけを新たに編み直したもの。
右写真、そのフタだけ新たに編んだ茶ベロの側で、茶葉を炒っているところ。
- 二斗じょけ(直径二尺(60cm強)の大ザル。焼酎や和菓子の製造元などで米揚げ用に使われたりします。このような大きいザルは、抱えづらくて引きずることも多いので、底には補強の竹をはめています。)
- 二重(ふたえ)バラ(「バラ」とは、方言で底の平たいザルのこと。野菜や梅干など、干し物全般に使われます。表を網代編みで作り、裏には六つ目で編んだものを合わせます。写真は直径二尺(60cm強)、縁はステンの針金仕上げです。「丸バラ」とも呼ばれます。)
下は、直径1mの「大バラ(味噌バラ)」。
幅1.5cmの太いヒゴの網代編みで作っています。
- 軍鶏(しゃも)かご(高さ90cm弱、軍鶏を入れる釣り鐘状のカゴ。上部は輪弧編み、胴体は六つ目編みで作っています。軍鶏は首が伸びてすらっとした姿が美しいとされるので、カゴは高めに編みます。底は地面に置いて荒っぽく使われ、竹を磨かずに縁巻きしています。)
下は、実際に軍鶏カゴを使用するところ。
写真はシャモではなくて普通の鶏。時々小屋から外に出して雑草や虫を食べさせたりするとのことで。
- 籾(もみ)通し (その昔、足踏み式脱穀機が使われていた頃、脱穀した籾をふるいにかけて藁やクズと分別するザル。写真は、脱穀後、一番に通す目の粗いもので一センチ弱角。水俣の籾通しは、底面を八角形にして作ります。斜めの箇所は編むのが難しいです。大きさは、一斗じょけと同じ約17寸。)
- 〜通し (穀物類を、ふるいにかけて塵やクズと分別します。通す物によって穴の大きさが変わり、豆通し、モミ通し、麦通し、米通し、コゴメ通し、粟通し・・・と、段々と目が細かくなります。逆にクズを通して、中に穀物を残す使われ方も。大きさは直径15寸(約45cm)、底は六つ目で別途カゴを編み、二重にしています。)
ツヅラ仕上げ
縁(ふち)をツヅラで括って仕上げています。ヒゴは特別に磨いています。
下写真は、蕎麦の実を木の棒で叩いて落とし、その後ふるいにかけてクズと分けたところ。
(下に蕎麦の実が落ちます)
縁巻き仕上げ
縁(ふち)を竹で巻いて仕上げています。下写真のヒゴは、磨かずにそのままの青さです。
編みたて直後の青々しさは、よく晴れた日などは数時間位しかもたず、すぐに水色へと薄まります。
下写真は、「粟通し」を使って、殻の付いた小麦を選り分けるところ。
ちなみに下は、針金(銅線)仕上げ。
左二枚は四つ目に編んだものをはめず、ただ底の六つ目だけのもの。ヒゴを磨き、皮を内側に向けて編んでいます。
一番右は、ウニの中身を洗うのに使うという漁師さんからの注文で、「粟通し」よりも更に目を細かく編んだもの。